がん診療
京都府がん診療推進病院
当院は、平成23年3月29日付で京都府より「がん診療推進病院」に指定されました。
「がん診療推進病院」とは、京都府がん対策推進条例(平成23年3月18日公布)に基づき、専門的ながん医療の提供、地域のがん医療連携体制の構築、情報提供・相談支援の実施等を目的として整備された、がん診療連携拠点病院やがん診療連携病院に準じる病院です。
当院では、これまで外来化学療法室の拡充、緩和ケア外来の開設、がん相談支援センターの設置、セカンドオピニオン外来の設置、がん患者サロンの開設、キャンサーボードの定期的開催、院内がん登録の整備などに取組んできました。今後さらに、がん診療の高度化とがん患者・家族へのサービス向上を図ってまいります。
緩和ケア
緩和ケアは病気の終末期を意味するものではありません。日本緩和医療学会「WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002)」定訳によると、「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に同定※し、適切な評価と治療によって、苦痛の予防と緩和を行うことで、QOL(Quality of Life:生活の質) を改善するアプローチである」とされています。がんと診断されたときから、痛みや息苦しさ、心のつらさ等の症状が緩和ケアの対象となっています。がんの治療とともに、つらさを感じるときにはいつでも受けることができます。当院の緩和チームでは、医師・薬剤師・看護師だけでなく、セラピスト、退院支援看護師、栄養士、ソーシャルワーカーなど各方面の専門家が協働して、それぞれの専門的な視点から、緩和ケア診療を行っています。患者さんやご家族が病気と向き合い、適切な治療が受けられるように、毎日を安心して生活することができるように支援しています。
「同定」:発見または見つける 緩和ケア外来について
外来化学療法
当院では、外来化学療法室を開設し、ベッドとリクライニングベッドの計12床で治療にあたっています。当院の抗がん剤化学療法の全ては、定期的に開催される専門チーム(化学療法委員会)で審査・承認されたプロトコールであり、これらはエビデンスに基づく質、安全性共に高い標準的治療です。
また、外来化学療法室では安全に治療を行うだけでなく、患者さんが自分らしく過ごせるように支援することも重要な役割と考えています。そのため病状や治療を理解するための関わり、治療継続のための症状マネジメント、状況に応じたこころのケアなども行っています。安全で質の高い治療を実施するために、医師、薬剤師、看護師、栄養士、福祉相談室などが、それぞれの専門性を発揮しながら連携して患者さんの支援にあたっています。
がん患者さんへの支援
当院では、がん患者さんとそのご家族のための相談支援を行っております。
がん相談支援センターがん登録
当院では、「全国がん登録」、「院内がん登録」を実施しています。
日本でがんと診断されたすべての人のデータを、国で1つにまとめて集計・分析・管理する新しい仕組みです。2016年1月より「がん登録等の推進に関する法律」の施行に伴い開始され、すべての病院と一部の診療所(都道府県が指定)において、患者さんのがんに関する情報を都道府県に提供しています。
収集されたデータは国や都道府県のがん対策、がん検診や治療の体制づくり、がん研究などに役立てられます。
病院でがんの診断・治療等を受けた全ての患者さんについて、がんの種類(部位・組織型)・病期・受診経緯・治療内容・予後などの情報を登録する仕組みです。
当院は京都府がん診療推進病院に指定されており、「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」により、院内がん登録の実施が義務付けられ、院内がん登録集計結果を国立がん研究センターに提供しています。当院におけるがん診療の把握、特徴や問題点を明らかにする事で、がん診療の質の向上と、がん患者さんへの的確な情報提供および国のがん対策に役立てられています。
がん登録は、国立がん研究センターが示すがん登録実務に係るマニュアルに沿って、国立がん研究センター等が提供する研修を持続的に受講している実務者がすべての登録を行っています。