乳腺外科

外来診療担当表
診療内容・特色

 近年、「Breast Awareness ブレスト・アウェアネス」=「乳房を意識する生活習慣」の重要性が注目されています。これは、特に女性が乳房の状態に日頃から関心をもつことで、ご自身の乳房変化に気づき、速やかに受診されることがねらいです。そして、生涯を通じて、"健康で明るく充実した生活"を送るために必要な生活習慣を身に着ける、健康教育の一つです。

ブレスト・アウェアネスとしては4つの基本行動が提唱されています。
① 乳房の状態を知ること
自分に関心を持ちましょう。
自己触診(見て、触る)や痛みを感じるなど。
② 乳房の変化に気づくこと
自分の乳房の"いつもの状態"を知りましょう。
しこり、血性乳頭分泌、皮膚の引き連れなど。
③ 乳房の変化に気づいたら、医療機関を受診すること
受診をためらわない。
④ 定期的に乳がん検診を受けること
早期がんは自覚症状がないことが多いです。

40歳以上であればマンモグラフィ検査による検診を
当院では長岡京市個別検診および、健診センターでの健診なども行っています。

健診センター


ブレスト・アウェネスによってできることは、以下のように言われます。
① 自分の乳房への関心を高める
② 自分の乳癌発症のリスクを把握する
③ 乳癌にならないように予防する
④ 乳癌検診の大切さ、利益と不利益を理解する

当院で検診をうけていなくても構いませんので、もし乳がん検診で異常を指摘された場合や、気になることがあれば乳腺外科を受診してください。また、乳腺疾患は乳がんだけではありません。男性でも女性化乳房や乳がんなどを発症し、加療が必要となりえます。
2021年4月から当科は新体制となり、毎日女性医師による外来診察および女性技師によるマンモグラフィ撮影をおこない、健診の拡充にも努めています。予約外の当日受診にも可能な限り対応します。(注:予約の方が優先にはなります)

【ご紹介いただく先生方へ】予約枠のない日時の調整もおこないますので、その際には直接担当医へご連絡をお願いします。
乳がん自己触診

● 毎月一回はセルフチェックを行いましょう。
 閉経後の方は毎月、日にちを決めてのチェック。閉経前の方は生理開始後1週間ぐらいで、貴方の中で乳房の張りが一番少ない時期がよいです。

まずは、手をバンザイして上げたり下ろしたりして、鏡で確認しましょう!
・皮膚の引き連れやくぼみ
・乳頭陥没(以前からであれば問題ありません)
・乳頭乳輪の発赤や湿疹  など

次に、触ってみましょう!
右乳房は左手で、左乳房は右手で。
指の腹を使って、滑らすように触ってください。

乳頭や乳房をしぼってみましょう!
血液など分泌物は出ませんか?

乳がんの診断・治療
 当科では様々な乳腺疾患の治療にあたりますが、その中でも大多数を占めるものが乳がん診断と治療です。 今や乳がんは日本人女性の9人に1人が罹患するともいわれ、女性が生涯に罹患する「がん」の第一位です。減少するどころか増加の一途です(グラフ1)。しかし、早期に発見し治療を受けていただければ、非常にコントロールのよいがんの一つです。

 一方で、検診受診率が伸び悩んでいることは非常に残念なことですが、「マンモグフィは痛い」「忙しい」「受診しづらい」「何か見つかったらどうしよう」といった皆さんの不安も十分に理解できます。皆さんと相談しながら、検診を受けることで安心していただき、乳がんの早期発見および治療に努めたいと思います。
 また、乳がんは乳房のみの疾患ではありません。全身への影響(転移・再発)を考慮に入れて、「個別化治療=オーダーメイド治療」と言われるように個々の患者さんの病態(患者さんの乳がんの性格、遺伝子変異の有無など)を把握し、効果のある治療(薬物療法・手術・放射線療法など)を全身治療と局所治療のバランスを取りつつ患者さんの希望も踏まえながら、一緒に乗り越えていくお手伝いをします。
そのために、乳腺外科のみで完結する治療だけでなく「チーム医療」で、当院他科のみならず関連施設と連携し患者さんへの治療を提供します。

乳がんのリスク

女性ホルモンとの関連が言われています
初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、閉経後の肥満、更年期障害などの治療で長期ホルモン補充療法を受けている、など。

生活習慣
喫煙、飲酒習慣など

遺伝子変異
遺伝性乳癌卵巣癌症候群、Li-Fraumeni症候群など

乳がんの症状

・しこり
・皮膚の異常(発赤、びらん、ひきつれなど)
・乳頭陥没(最近になって)などの形態変化
・乳頭からの異常分泌物(特に血性)
・腋窩のしこり、上肢の浮腫
・痛み              など

乳がんの診断

マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査
超音波検査
超音波検査

細胞診
しこりに針(採血するときぐらいの太さ)を刺して細胞を吸引したり、分泌物を直接採取して、細胞の核の形や大きさなどから良悪性を判断します。

組織診断
局所麻酔を行った上で、皮膚に5㎜程度の切開を入れ専用の針や道具を用いて、調べたい組織を切り取ってきます。出血などのリスクはありますが、確定診断をつけて治療方針を決定するためには不可欠な検査の一つです。

その他、必要に応じて検査を行います。

乳がんの治療

乳がんの治療はがんの性質や病状を把握して、かつ患者さん一人ひとりの価値観や希望にあわせて相談・決定をします。

がんの大きさや乳房内での広がり、位置
血行性転移(肺、肝、骨、脳など)
リンパ節転移
がんの性質(サブタイプ:ホルモン感受性、HER2蛋白発現状態、Ki67など)
BRCA遺伝子変異
患者さんの希望(妊孕性などもふまえて)  など

病状の把握および治療方針の決定

化学療法(抗がん剤治療)
抗HER2療法
ホルモン療法
 など

手術前の治療

乳房切除術
乳輪温存乳房切除術
皮膚温存乳房切除術
乳房部分切除術

センチネルリンパ節検査
腋窩リンパ節郭清
再建

手術

化学療法(抗がん剤治療)
抗HER2療法
ホルモン療法
放射線療法    など

手術の結果やがんの性質に応じて再発予防を御相談して行い、その後経過観察。

手術後の治療

センチネルリンパ節検査

腋窩リンパ節の中で、最初にがん細胞がたどり着くリンパ節を「センチネルリンパ節検査=みはりリンパ節」といい、ここにがんの転移があるか否かを術中に調べます。転移がなければその先のリンパ節への転移もないと考え、腋窩郭清を省略するという標準治療です。放射性物質や色素などを使用してセンチネルリンパ節を探し出します。

センチネルリンパ節検査
センチネルリンパ節検査

乳房再建術

乳房再建とは、乳がんの手術によって失われた乳房を形成外科の技術を用いて再建することです。もっとも重要なのは乳がんのコントロールですので、100%患者さま御希望に添えるわけではありませんが、メリット・デメリットを御相談しながら適した再建時期と方法を選択していきましょう。

再建する時期

一次再建:乳がんの手術と同時に再建を行います
二次再建:乳がんの手術後に期間をおいて再建術を行います

手術の回数

一期再建:皮膚を伸ばさず1回の手術で乳房のふくらみを作ります
二期再建:乳房のふくらみを作るには皮膚が足りず、数カ月かけて皮膚を伸ばした後にふくらみを作ります 

再建の方法

自家組織:お腹や背中の筋肉・皮膚を用いて再建を行います
人工物による再建:エキスパンダーという皮膚を伸ばすものを使用した後に人工乳房(インプラント)を入れる。乳がんの手術と同時にインプラントを入れることや自家組織とインプラントを併用することもあります

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer、以下HBOC)

 遺伝性乳癌は、全乳癌の約10%を占めているといわれており、その約70%がBRCA1遺伝子もしくはBRCA2遺伝子の病的変異により発症するHBOCと呼ばれる遺伝性乳癌です。もちろんそのほかの遺伝子の異常で発症する乳癌もあります。
 HBOCにおける乳癌の特徴は若年・多発(同側、対側含む)、卵巣癌や膵臓癌、前立腺癌にも関与すると言われています。
2018年6月には、BRCA遺伝子変異のある進行・再発乳がんの治療薬(PARP阻害剤)の適応の有無の検索のためにBRCA遺伝子検査が保険適応となっています。
 さらに、2020年4月には乳癌発症者(卵巣癌発症者含む)でHBOCが疑われる方には、BRCA遺伝子検査が保険診療の対象となりました。これにより、BRCA遺伝子変異陽性者のリスク低減乳房切除術(再建を含む)やリスク低減卵管卵巣摘出術、MRI検査での検診が保険適応となりました。
 様々な治療方針を決定する際に、BRCA遺伝子検査を行います。

リンパ浮腫

術後や進行・再発乳がんには特に患側上肢リンパ浮腫を発症することがあります。リハビリテーション科と連携して加療にあたります。
また、リンパ管静脈吻合術といった手術の適応となることもありますので、形成外科と相談をさせていただきます。
 
 乳がんは早期発見のみならず、予防をも考える時代に入りました。また新しい治療薬の開発やそれに伴う臨床試験やガイドラインの改訂も行われ、適応があれば遺伝子検査を行い再発のリスクを予測した上で治療を決定する(OncotypeDXなど)ことも可能で、個別化治療が進んでいます。
 残念ながら再発・進行乳がんの方もいらっしゃるので、ご希望や目標に合わせて協力しながら治療やサポートを提案します。一緒に考えていきましょう。
 当科では、これからもしっかりと乳腺外科として勉強に励み、患者さんやご家族、かかりつけの先生方・京都府立医科大学附属病院をはじめとする関連施設の先生方、診療に関わる皆さんのご理解とご協力をたまわり、診断・治療に取り組みます。

患者さんへのお願い

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乳腺外科部長 安岡 利恵

乳がんは、女性が最も多く罹患するがんです。近年の罹患数は約90,000人。今や女性の9人に1人が乳がんに罹患するとされ、増加の一途をたどっています(グラフ1)。2019 年の乳がん検診受診率は50% ...

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スタッフ紹介

部長安岡 利恵やすおか りえ

出身大学

徳島大学(1993年卒)

担当・専門分野

乳腺外科

資格・当院兼職

日本外科学会認定外科認定医

日本外科学会認定外科専門医

日本外科学会認定外科指導医

日本乳腺外科学会認定乳腺認定医

日本乳腺外科学会認定乳腺専門医

日本乳腺外科学会認定乳腺指導医

日本消化器外科学会認定消化器外科認定医

日本消化器外科学会認定消化器外科専門医

日本消化器外科学会認定消化器外科指導医

日本消化器病学会認定消化器病専門医

日本がん治療認定医機構認定がん治療認定医

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会責任医師

京都府立医科大学 内分泌・乳腺外科学外講師

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