腎臓内科
外来診療担当表腎臓から全身をみる 全身から腎臓をみる そして人をみる
超高齢社会を迎え、慢性腎臓病(CKD)の患者さんは年々増加しています。現在では成人の約6人に1人が慢性腎臓病であるともいわれており、身近で重要な疾患として広く認識されるようになっています。こうした背景のもと、当院でも2019年に腎臓内科を開設し、腎臓専門医・指導医および透析専門医・指導医の資格を有する常勤医師2名を含む計5名の腎臓内科医が在籍し、日々診療を行っています。
腎臓は「全身を映す鏡」ともいわれます。腎臓の異常をきっかけに、全身の病気が見つかることも少なくありません。また反対に、全身のさまざまな病気の経過の中で腎臓障害が生じることもあります。
私たちは「腎臓から全身をみる、全身から腎臓をみる、そして人をみる」をモットーに、検尿異常、腎炎、慢性腎不全、透析療法をはじめ、全身疾患に伴う腎障害、急性腎障害、電解質異常、高血圧など、腎臓に関わるさまざまな病気・病態に対して、丁寧かつ適切な検査と治療を行っています。
検尿異常(尿蛋白・尿潜血)
健康診断などで「尿蛋白」や「尿潜血」を指摘されたことはありませんか。
「疲れていただけかな」「体質だから大丈夫」と思い、そのままにしてしまう方も少なくありません。
腎臓は、体に不要なものだけを尿として排泄し、体に必要なものは体内に残す働きをしています。
そのため、尿に蛋白や血液が出ている場合、尿を作る腎臓のしくみに何らかの異常が起きている可能性があります。
検尿異常は、自覚症状がない腎臓が「助けて!」と最初に出すサインです。私たちはこのサイン(検尿異常)を「腎臓のなみだ」と読んでいます。「腎臓のなみだ」を決して見逃さないでください。
健康診断などで検尿異常を指摘された場合は、まずかかりつけ医にご相談ください。必要に応じて腎臓内科で詳しい検査や診察を行います。
Point!!
どんな人が腎臓内科を受診すべき???- eGFR:腎臓の点数
・40歳未満は60点以下
・40歳以上は45点以下 - 尿蛋白:(1+)続く
- 年々腎臓が悪くなる(※健康な成人のeGFRは年間約0.4〜1.0 mL/min/1.73 m²低下する)

腎炎・ネフローゼ症候群など
健康診断などで検尿異常(尿蛋白や尿潜血)を指摘された場合、その背景に腎炎やネフローゼ症候群などの腎臓の病気が隠れている可能性があります。これらの病気は、腎臓の中で尿を作る「糸球体」という部分に炎症や障害が起こることで生じます。
当院では、血液検査や尿検査、超音波検査などを行い、腎臓の状態を詳しく評価していきます。さらに、正確な診断が必要と判断された場合には、腎生検(腎臓の組織を一部採取して詳しく調べる検査)を行い、病気の種類や程度を確認します。
診断に基づいて、免疫抑制療法や支持療法など、それぞれの病態に応じた適切な治療を行い、腎機能の維持・改善を目指して診療を行っています。
慢性腎臓病
「腎臓が悪いと言われたけれど、特に症状がないので大丈夫だと思っています」とおっしゃる患者さんは少なくありません。しかし、慢性腎臓病は透析が必要になる直前まで症状が出にくい病気であり、気づかないうちに進行してしまうことがあります。そのため、症状がない早い段階から適切な治療や生活管理を行うことがとても重要です。
また慢性腎臓病の原因や進行の要因は患者さんごとに異なります。糖尿病や高血圧などの基礎疾患の管理に加え、生活習慣やお薬の調整など、それぞれの患者さんに合わせた治療が必要となります。
当科では、腎機能低下の原因や悪化因子を詳しく調べるとともに、合併症の評価や今後の治療方針について丁寧に説明するため、栄養指導を含めた1週間の慢性腎臓病検査教育入院を行っています
また、医師だけでなく、看護師、薬剤師、栄養士、臨床工学技士、理学療法士など多職種が連携し、腎機能低下の進行をできるだけ抑えられるようチームで診療に取り組んでいます。こうした検査教育入院を通じて患者さん一人ひとりに合った治療を行うことで、腎機能の低下速度を緩やかにできることが報告されています。

●当院の慢性腎臓病検査教育入院のスケジュール
目的は3つ!
- 腎臓が悪くなった原因を探す
- 正しい知識の獲得
- 心血管合併症がないか調べる


医師指導

看護師指導

薬剤師指導

栄養士指導

理学療法士指導
腎臓病教室
教育入院することが難しい方には、2か月に1回「腎臓病教室」を開催しています。
月によってテーマが異なっており、外来患者さんであれば参加も自由です。
みんなで楽しく腎臓について腎臓病について学んでいます。
- 申込方法: 腎臓内科受診時に主治医にお申し出ください。当日は、直接会場にお越しください。(予約キャンセルされる場合、連絡は不要です)
- 時間: 11:00~12:00(開場 10:45~)
- 場所: 1階 なでしこホール
●2026年度腎臓病教室スケジュール
5/27(水)
7/22(水)
・体操(理学療法士)
・減塩のコツ教えます(栄養士)
9/30(水)
・体操(理学療法士)
・カリウムはこれに注意!(栄養士)
12/23(水)
・体操(理学療法士)
・透析ってどんな治療?(看護師)
2/24(水)
・体操(理学療法士)
・透析ってどんな治療?(看護師)
腎代替療法(透析・腎移植)
腎機能の低下をできるだけ防ぐために治療を行っていても、病状の進行により腎代替療法(透析療法や腎移植)が必要となる場合があります。
当科では、腎機能が大きく低下してからではなく、腎臓の状態が悪化する前の段階から、患者さんやご家族と一緒にこれからの治療や生活について考えていくことを大切にしています。慢性腎臓病療養指導士の資格を持つ看護師も在籍しており、患者さんの不安や疑問、これからの生活についてゆっくりお話を伺いながら、理解を深めていただけるようサポートしています。
腎代替療法には、血液透析・腹膜透析・腎移植などいくつかの選択肢があり、それぞれ特徴や生活への影響が異なります。当科では、それぞれの治療法について丁寧に説明し、患者さんの生活背景や価値観、ご家族の思いも大切にしながら、何度も話し合いを重ねて治療方針を決めていくことを大切にしています。
また近年では、透析を行わずに症状を和らげながら生活の質を保つことを目標とする保存的腎臓療法(透析を行わないという選択)という考え方もあります。当科では、そのような選択肢についても十分に説明し、患者さんとご家族の意向を尊重しながら、納得のいく形で治療方針を決定できるよう支援しています。
透析療法を選択された場合も、あるいは透析を行わない治療を選択された場合も、患者さんが安心して生活できるよう、在宅医療を担う医師や訪問看護師など地域の医療スタッフと連携しながら継続的に支えていきます。
患者さん一人ひとりが、ご自身の人生や生活に合った治療を選択できるよう、私たちは寄り添いながら診療を行っていきます。
腎臓病療養指導士 井上 智恵
「気持に寄り添い、後悔のない腎代替療法選択になるよう努めます。」
●末期腎不全における腎代替療法導入について
+透析をしない選択肢(保存的腎臓療法)
患者の尊厳性を尊重し、終末期医療に準じ、患者・家族の意思を確認した上で、腎代替療法を見合わせること。

腹膜透析
当院では、2020年度より希望された患者さんに対して腹膜透析を行っています。
腹膜透析とは、お腹の中にある「腹膜」という膜を利用して体内の老廃物や余分な水分を取り除く透析療法です。腹膜透析用のカテーテルをお腹に留置し、透析液をお腹の中に出し入れすることで透析を行います。
腹膜透析の大きな特徴は、ご自宅で行うことができる透析療法であるという点です。通常、通院は月1~2回程度で、日常生活や仕事を続けながら治療を行うことが可能です。また、血液透析のような穿刺(針を刺す処置)がないことや、体への負担が比較的少ないことから、心臓や血管への負担が少なく、生活の質(QOL)の維持・向上が期待できる治療法です。
一方で、腹膜透析を開始するためには腹膜透析用カテーテルを留置する手術が必要となります。また、治療を続けていく中では腹膜炎などの合併症に注意しながら管理していくことが大切です。
当科では、腹膜透析についての詳しい説明や、患者さんの生活スタイルに合った治療選択について丁寧にご相談をお受けしています。腹膜透析について話を聞いてみたいという方も、どうぞお気軽に当科へご相談ください。
血液透析
当院では2021年5月より外来維持透析を開始しました。新病院では透析ベッドを15床に増床し、地域の患者さんに透析医療を提供しています。
血液透析は、週3回程度通院していただき、1回約4時間かけて血液をきれいにする治療です。体内にたまった老廃物や余分な水分を取り除き、体の状態を整えていきます。
血液透析を行うためには、血液を十分に流すための「内シャント」と呼ばれる血管の通り道を作る手術が必要になります。シャントの管理や体調の変化をしっかり確認しながら、安全に透析を続けていくことが大切です。
血液透析の大きな特徴は、週に3回医療スタッフが患者さんの体調を直接確認できることです。体調の変化や合併症の早期発見につながり、きめ細やかな管理が可能となります。
当院では、患者さん一人ひとりの生活や思いに寄り添いながら、安心して透析治療を受けていただけるよう、丁寧で温かみのある透析医療を大切にしています。スタッフ一同、患者さんが安心して通院できる透析センターを目指しています。
透析と聞くと、「つらい」「大変そう」というイメージを持たれる方も少なくありません。透析導入を前に、不安や心配でいっぱいになる患者さんやご家族も多くおられます。
しかし実際には、透析を受けながら仕事を続けておられる方、旅行や趣味を楽しんでおられる方など、私たちの想像以上に元気に、いきいきと生活されている患者さんがたくさんおられます。
透析は確かに生活の一部として受け入れていく必要のある治療ですが、決して人生を止めてしまうものではありません。
私たちは、患者さんがその人らしい生活を大切にしながら治療を続けていけるよう、医療スタッフ一同でしっかり支えていきたいと考えています。
高血圧症・電解質異常
高血圧症といっても、患者さんによってその原因や特徴はさまざまです。季節によって血圧が変動する方、朝方に血圧が高くなる「早朝高血圧」の方、薬の効果が出にくい方など、病状は一人ひとり異なります。
当科には高血圧専門医が在籍しており、まず高血圧が本態性高血圧(一般的な高血圧)なのか、あるいはホルモン異常や腎臓の病気などが原因となる二次性高血圧なのかを丁寧に評価します。そのうえで、患者さんの病状や生活背景に合わせて適切な降圧薬を選択し、治療を行っていきます。
また、家庭で測定していただく家庭血圧を積極的に活用し、日々の血圧の変化を診療に役立てています。
このほかにも、ナトリウムやカリウムなどの電解質異常、 多発性嚢胞腎などの遺伝性腎疾患、急性期に必要となる急性血液浄化療法など、腎臓に関わるさまざまな病態に幅広く対応しています。
気になる症状や検査異常がある場合には、どうぞお気軽にご相談ください。
当院の腎臓内科の特徴について
私たちは、患者さん一人ひとりが自分らしく、幸せに日々の生活を送っていただけることを願いながら、日々診療にあたっています。腎臓の病気は長く付き合っていくことが多い病気ですが、病気だけを見るのではなく、その方の生活や人生にも寄り添う医療を大切にしています。
また、地域の皆さまに腎臓病について知っていただくため、毎年開催される京都済生会フェアにも出展し、腎臓病の予防や早期発見の大切さをお伝えする啓発活動にも取り組んでいます。
腎臓は、私たちが眠っている間も休むことなく働き続ける、とても健気で大切な臓器です。
私たちは患者さんや地域の皆さまとともに、この大切な腎臓を守りながら健康な生活を支えていけるよう努めてまいります。
腎臓から全身をみる 全身から腎臓をみる そして人をみる
それが、京都済生会病院腎臓内科の大切にしている医療です。

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上野 里紗うえの りさ
副部長 透析センター長
- 出身大学
滋賀医科大学(2007年卒)
- 担当・専門分野
内科一般・腎臓
- 資格・当院兼職
日本内科学会認定内科医
日本内科学会認定総合内科専門医
日本透析医学会認定透析専門医
日本腎臓学会認定腎臓指導医
日本腎臓学会認定腎臓専門医
日本腹膜透析医学会認定腹膜透析認定医
日本高血圧学会認定高血圧専門医
日本透析医学会認定透析指導医

原 将之はら まさゆき
腎臓内科副部長
- 出身大学
京都府立医科大学(2009年卒)
- 担当・専門分野
内科一般・腎臓
- 資格・当院兼職
日本内科学会認定総合内科専門医・認定内科医
日本腎臓学会認定腎臓専門医・指導医
日本透析医学会認定透析専門医・指導医
日本腹膜透析医学会腹膜透析認定医
日本高血圧学会認定高血圧専門医
一般社団法人多発性嚢胞腎協会認定 PKD認定医
日本感染症学会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)
日本禁煙学会認定禁煙認定指導医・禁煙専門指導者
上田 美樹うえだ みき
医員
- 出身大学
京都府立医科大学(2019年卒)
- 担当・専門分野
内科一般・腎臓
髙安 光たかやす ひかる
医員
- 出身大学
兵庫医科大学(2023年卒)

下山 達也しもやま たつや
医員
- 出身大学
滋賀医科大学(2024年卒)
- 担当・専門分野
腎臓内科一般