院長挨拶
令和6(2024)年10月1日付で京都済生会病院の院長に就任しました伊藤義人です。
私は、医療が目まぐるしいスピードで変貌を遂げる中、当院がその使命である乙訓地域のみなさんによりそった質の高い医療の担い手として、深い信頼関係を確立することを目的に、京都府立医科大学から院長として赴任してまいりました。当院が、現在の姿に至るまで絶え間なくご尽力いただいた歴代の院長・職員に感謝するとともに、与えられた職責に全力で取り組む所存です。
私は、昭和60(1985)年に京都府立医科大学を卒業、京都府立与謝の海病院(現:京都府立医科大学附属北部医療センター)や京都府保健福祉部勤務を経て、平成14(2002)年より京都府立医科大学助手、講師・准教授、平成25(2013)年からは京都府立医科大学消化器内科学教授を務めました。私個人の専門領域は消化器内科、特に、肝疾患(ウイルス性肝炎、脂肪性肝疾患)の診断と治療ですが、肝臓以外にも消化管・胆膵・腫瘍内科分野の人材育成に力を注いでまいりました。浅学菲才の私ではありますが、教室の運営指針の第一に人材育成を掲げ、教室の診療レベルの向上に結びついたと確信しており、当院においても多種職の人材育成に力を注ぎたいと考えています。
当院は恩賜財団済生会の京都府支部の病院として昭和4(1929)年に京都市北区に開設し、昭和58(1983)年に京都府長岡京市に移転、地域のみなさんのご支援により、京都府乙訓地域(長岡京市・向日市・大山崎町)唯一の公的医療機関として育ってまいりました。令和4(2022)年には長岡京市を中心とした乙訓地域の急性期医療・地域医療の充実を図るべく、現在の西山天王山駅近くに新築移転。現在の名称「京都済生会病院」として新たな歩みを始めました。
当院は、新病院のコンセプトに「暮らしによりそう病院」を掲げています。医療から福祉にいたるまで、シームレスで全人的な支援を可能にする「患者総合サポートセンター」を設置し、患者さんが地域で暮らすための支援体制が充実しています。また、平成20(2008)年には地域医療支援病院に承認されています。そして、済生会精神である「施薬救療」に則った無料低額診療事業や生活困窮者支援事業「なでしこプラン」、地域の団体・企業・行政と一緒に開催する「済生会フェア」などをソーシャルインクルージョン活動・まちづくりを積極的に行うことで社会との繋がりを大切にする病院であり続けたいと考えています。
診療においては、日進月歩の先進的な医療を地域に提供することが必要です。そのため、高度医療機器の積極的な導入や最新の知識と技術を持った医師をはじめとする医療従事者の招聘や育成を継続的に行います。職員同士の綿密なコミュニケーションは高度な急性期医療を具現するためには必須で、診療科や職種の垣根を超えた連携を推し進めます。さらに、医師から多職種へのタスクシフト・タスクシェアやon/offを使い分ける働き方改革を推し進め、時代に即した活気あふれる病院として評価されるよう努めます。わが国の経済・政治が不安定とも思える時代ではありますが、質の高い医療を誠実な姿勢で臆することなく遂行し、地域完結型の全人的な医療に向けて全力で取り組みますので、みなさんのご支援・ご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。