患者さんと病院をまもる

2020年08月01日(土曜日)

新型コロナウイルスなどの感染症や医療事故などから病院や患者さんをどうやってまもっているのか、ご存知ですか?
今回は看護部から感染管理と医療安全に日々向き合うスタッフに病院の取り組みを教えてもらいます!

感染からまもる

感染管理者  岡本 教子

手指衛生の徹底
 院内感染を発生させない、広げないために1番大事な感染対策は手指衛生(手を洗うこと、消毒すること)です。みなさんは看護師の腰にぶらさがる消毒剤や外来診察室の机の消毒剤をみたことはありませんか?いつでも手をきれいにできるように、患者さんごとに消毒できるようにしています。地道なことですが、年々アルコール消毒剤の使用量は増えています。つまり、手指衛生の回数が増えているということです。

院内ラウンド
 院内の感染制御の核になる感染対策チーム(ICT)は、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師で構成されています。週1回のラウンドでは、感染対策が適切かどうか、設備や環境が衛生的に管理されているかを確認して随時指導しています。2018年からは抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動も開始し、患者さんへの抗菌薬の投与方法や期間、検査の実施状況等を確認し、現場へフィードバックしています。今年度は、看護部感染防止対策委員のラウンドも実施し、より多くの職員の目で感染対策の確認・評価しています。

新病院移転に向けて
 2022年の新しい病院に向けて、職員が感染対策を実施しやすいような環境を作ること、院内感染が起こらないような設備やその配置を考えて提案しています。

新型コロナウイルス感染症に対して
 知らない間に新型コロナウイルス感染症が院内で蔓延することがないように、熱がある外来患者さんは、専用エリアで対応しています。また、面会や業者さんの立ち入りを制限し、来院時にはマスク着用、手指消毒、体温チェックをお願いしています。さらに、外来待ち合いの椅子や階段の手すりなどをすべて清掃・消毒し環境を整えています。
 私たち感染制御部は「院内感染を起こさない」を維持する活動が主体のため、全般に地味な活動が多いです。しかし、この地道な取り組みを継続しなければ、感染制御という病院の大きな目標は達成できません。地道なことを継続するのは簡単なようで難しいですが、職員の理解と協力が、私たちのモチベーションを日々支えてくれています。

岡本 教子 (おかもと のりこ)

感染管理者・感染管理認定看護師・看護課長
看護師免許取得後、他院の内科病棟勤務。2003年に済生会京都府病院に就職し手術室に配属。2009年感染管理認定看護師としての活動を開始。2012年から感染管理者として従事し現在に至る。

病院の安全

医療安全管理者  長谷川 久美子

ヒヤッ!! としたり、ハッ!! としたり
 みなさんは、車の運転中に視界の悪い交差点でヒヤッとしたことはありませんか?! 交差点には衝突事故を防止するためにミラーが設置されたり、一旦停止の表示がされたり安全のための工夫が行われています。
 病院でも、ヒヤッとしたり、ハッとしたりした体験を集めて、その原因を究明し改善しています(ヒヤリ・ハット体験報告制度)。このような活動を推進するのが医療安全管理者の役割です。

報告をする制度
 当院では2006 年からヒヤリ・ハット体験報告制度に取り組んでいます。職員の安全への意識の高まりが、増加する報告件数に表れています。

現場に足を運ぶ
 私の毎日の仕事は、報告内容の確認から始まります。報告者や同じ部署の職員に話を聞いたり、現場の状況を確かめたりしています。現場に足を運んで報告書ではわからなかったことを詳しく聞くことで、業務改善のためのヒントやアイデアに気づいたりします。

医療安全を推進するチーム
 院内には、医療安全のための様々なチームがあります。中心となる医療安全管理部の週1回カンファレンスでは報告内容の読み合わせや安全のための業務改善について話し合いをしています。メディカルセーフティマネージメント部会は多職種が参加する部会で、毎月院内職員向けの医療安全通信の発行や業務改善が実施されているか見回りをしています。
 看護部の安全対策委員会では看護師たちが熱心に活動をしています。各部署での毎週のカンファレンス、毎月の委員会で報告しあい、急な状況に備えた対応訓練を計画・実施しています。
 このように、医療安全管理者一人ではなく、様々なチーム活動によって院内の医療安全に取り組んでいます。

患者さん・ご家族も医療安全にご参加ください。
 医療安全活動は患者さんやご家族の方の参加が重要です。特に、患者さんには間違いがないようにお名前を名乗っていただいています。また、ご自分の病気や飲んでいるお薬のことに疑問があれば質問したり、間違っていないか一緒に確認したりして、安全活動へのご協力をお願いします。

患者誤認防止啓発ポスター

長谷川 久美子 (はせがわ くみこ)

医療安全管理部・医療安全管理者・看護課長
1994年当院に就職、同年看護師免許取得。循環器内科、心臓外科、内科、整形外科、産婦人科、地域包括ケア病棟での勤務を経験。2012年医療安全管理者養成講習会終了。2016年看護課長に就任。2019年医療事故・紛争対応人材育成講座受講。3月より現職に至る。  掲載の「京なでしこ」を見る

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