ことばのあや（15）

「いさめる」という言葉を聞くと上の立場の人が下の立場の人に注意する場面をイメージする方が多いと思います。ですが本来の意味は反対で、下の立場の人が上の立場の人に対して使う言葉です。ちなみに上から下へは「たしなめる」を使います。では「役不足」はどうでしょう。役目に対して人の力が足りないという意味で使う方がいますが、本来は人の力に対して役目の方が劣ることです。「言葉は生き物」とはよく言ったもので、誤用されていく中で〝間違っている方が正しい〞と認識されていく様は、まるで進化する生き物のようで面白いですね。しかし言葉の認識に齟齬があると誤解を招きかねません。次世代には正しい日本語を正しく引き継いでいきたいものです。（S）