昭和から令和に受け継がれる「医療ソーシャルワーカー」のあゆみ
2024年09月27日(金曜日)みなさん「医療ソーシャルワーカー」という仕事を知っていますか?「医療ソーシャルワーカー」とは職種名称であり、資格名ではありません。「医療ソーシャルワーカー」の基礎資格は社会福祉士(国家資格)であり、保健医療機関で相談援助業務を行う社会福祉士を指します。社会福祉の立場から患者さんやご家族が抱える経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図る業務を行っています。
医療ソーシャルワーカーの歴史は古く、イギリスで発祥し、日本においても1929(昭和4)年、東京の聖路加国際病院や済生会中央病院で日本最初の医療ソーシャルワーカーが採用されています。
当院の医療ソーシャルワーカーの歴史は長く、初代医療ソーシャルワーカーは、1949(昭和24)年に配置されています。
当院は1929(昭和4)年に京都市北区に開設され、1933(昭和8)年には、救療患者の付添人のあっせんなど救療患者の福祉増進を図ることを目的に
東京・大阪に次いで院内に済生会社会部が設置されました。戦後、この社会部は一旦廃止されましたが、その活動は医療ソーシャルワーカーを中心とした医療社会事業に引き継がれました。
当院での医療ソーシャルワーカーの活動は、京都府内における草分けであり、現在も当時の相談カードや業務年報が大切に保管されています。医療ソーシャルワーカーが配属された当初の相談カードには、医療費の支払いに困る患者さんの記録が残されています。医療ソーシャルワーカーが患者さんの親族宅を訪問し、経済的支援を求めたり、民生委員の協力を得たりなどの活動が記されています。また、退院後の療養相談として養老院(当時)への手配、いわゆる退院支援も行っていました。
当時の業務年報を見ると、生活保護のあっせんなど、経済的な相談が多くを占めていました。これは、当時の社会状況や社会保障体制が相談内容に大きく影響していたことを表しています。
その後、医療ソーシャルワーカーは1 名から2名体制となり、病院の長岡京市への移転後は、市の委託事業や介護保険制度の創設に伴い増員されました。2022(令和4)年の新病院移転後は、1 階の患者総合サポートセンター内に福祉相談室が設置され、現在は6 名の医療ソーシャルワーカーが、患者さんやご家族の相談だけでなく「なでしこプラン」(済生会生活困窮者支援事業)など地域活動にも積極的に取り組んでいます。
医療ソーシャルワーカーは、患者さんやその家族が抱えるさまざまな生活課題に対して支援を行う存在として、脈々と受け継がれています。
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