ことばのあや(3)

2021年08月01日(日曜日)

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 豆腐と納豆は逆じゃないのか・・・と、学生の頃、商店街の昔ながらの豆腐屋さんの前で人生最大の発見をしたとワクワクしたことがあります。大豆を「腐らせる(発酵)」のは納豆で、豆乳を四角い型に「納め」て固めるのは豆腐です。きれいな水がないと作れないお豆腐に「腐」なんて言葉は似合わない。これは中国かどこかから、日本に納豆と豆腐が伝わった時に入れ替わってしまったのではないかという仮説をたて、調査を開始しました。
 実は、豆腐発祥の地、中国でも豆腐は「豆腐」です。奈良時代に中国から伝わったなど諸説あります。中国では古くから「腐」はブヨブヨと柔らかいものという意味があり、豆腐はつまり「柔らかい豆」ということになります。一方、納豆は、弥生時代頃から食べられていた可能性があるそうですが、その歴史は謎です。その名の由来については「寺の納所(台所)で作られたので納豆というようになった」と江戸時代の『本朝食鑑(ほんちょうしょくかがみ)』には書かれているそうです。
 つまり柔らかい豆の「豆腐」、納所で作っていたから「納豆」と、逆ではないことがわかったので、学生時代の私の大発見は幻に終わったのです。 (M)

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