ことばのあや(5)

2022年02月01日(火曜日)

 斉藤和義さんの「おつかれさまの国」という歌に"そのひとの疲れに「お」をつけて「さま」までつけて"という一節がありますが、関西ではなにかと「お」や「さん」を言葉にひっつけます。「おはようさん」「お芋さん」「お日さん」「仏さん」「天神さん」など、親しみのある語感はするっと馴染むような柔らかさがあり、関西弁の好きなところです。関西に根付く「さん」付け言葉は「御所言葉」が由来とも言われています。御所言葉は別名「女房言葉」と言い、宮中や公家に仕えた女官が自分たちの食べるものと公家が食べるものを区別するために、公家の食べ物には語尾に「さん」をつけたり「お」をつけたりして呼び分けをしました。それが庶民にもひろがり、現代にまで残るほど定着したと考えられています。
 大阪のおばちゃんがカバンに常備している「あめちゃん」は、京都や滋賀では「あめさん」と呼ぶこともあるそうですが、他人に勧める際におしつけがましくないように配慮して「さん」「ちゃん」をつけるようになったという説もあるとのこと。
 大阪の松竹座の前で見知らぬおばちゃんが「あんた、これ食べ」とカバンから取り出し、私に手渡してくれたのは「おみかん」でした。とても甘くておいしかったです。(M)

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