手術室解体新書 手術室を紹介します!

2023年04月06日(木曜日)

ドラマやドキュメンタリーではみたことがあるけど、手術を受ける時にしか入ることがない場所、手術室。
いったいどんなところなのか、手術室の看護師さんたちに紹介してもらいます!

Q 手術室って空気がキレイって本当ですか?

 手術室は、病院の中でもキレイな空気や環境を必要とする場所です。手術室の各ルームの天井の中央には空気清浄フィルターが設置され、そのフィルターを通ってキレイな空気がルーム内に入り、ルームの四隅にある排気口に抜けてキレイな空気が循環するようになっています。
 身体の中にある臓器や骨などの手術をするため、感染が起こらないように清潔な環境を保ち、滅菌された器材を使う必要があります。


Q 手術室で働くスタッフはどんな人がいますか?

 手術室には、麻酔科医師と看護師、看護助手が所属しています。
 手術をする各診療科の医師のほかに、手術中にレントゲンなどを使用するため、放射線技師や医療機器を操作するために臨床工学技士に立ち会ってもらうことがあります。


Q 手術室の看護師さんってどんなことをするのですか?

 手術を担当するのは、器械出し看護師と外回り看護師の2 名がメインです。
 器械出し看護師は、医師と同じように清潔のガウンを着て医師のそばに立ち、手術に必要な器械類(メス・ハサミや鑷子、ガーゼなど)を医師に渡す役割があります。担当する手術の手順を把握し、適切に器械類を渡すことができるように準備をしています。
 外回り看護師は担当する患者さんについて、手術に必要な情報を収集して患者さんのもとに術前訪問に伺います。患者さんの不安や疑問に思うことなどをお聞きし、手術に関するオリエンテーションを行います。手術中は、患者さんの血圧や脈拍、体温などの状態を見たり、麻酔科医の指示で注射の準備をしたり点滴管理などをします。
 手術中は患者さんの体を動かすことができないため、床ずれ予防のマットをあらかじめ敷いておくなどの工夫もしています。また、無影灯と呼ばれるライトの調節や材料の補充も行います。手術が滞りなく安全に終了できるよう、ルーム内の調整を図る役割も果たしています。
 手術後は、手術時間が長かった患者さんや緊急手術となった患者さんなどを対象に、病棟へ術後訪問に伺います。手術中に看護師が行った看護が
どうだったか、手術時の影響が起こっていないかなどを確認します。
 手術室では1日で5~15 件の予定手術のほかに緊急手術にも対応します。その日のリーダーを担当する看護師がそれぞれの手術の進行状況を把握し、円滑に手術が実施されるように調整をしています。

器械出し看護師
外回り看護師

Q 手術が安全に行われる秘訣はありますか?

 手術室に入室されるときには、患者さん自身に名前を名乗っていただき、どこを手術するのかを伺います。
 手術中は医師、器械出し看護師、外回り看護師が、使用している器械材料やガーゼが手術前に準備した数量と変わりがないか、カウントチェック
をします。これは、患者さんの体内にガーゼなどが残っていないことを確認するために行います。
 安全な手術には、医師と看護師の協力体制が必要です。そのため、日ごろからコミュニケーションをしっかりとり、良好な関係が保てるように努めています。


Q 手術を受けることになって不安・・・どんな流れで手術を受けるのですか?

●外来手術の場合

 外来に到着されたら、手術を担当する手術室看護師が外来に術前訪問に伺います。オリエンテーションなどが済んだら、手術室看護師とともに手術室に向かいます。更衣室で術衣に着替え、手術を行う部屋にご案内します。外来手術は、局所麻酔で行われます。意識のある中で手術が行われるので、器械音や医療者の話し声などが聞こえ、不安に感じることがあると思います。手術中は、医師や看護師から今からすることを適宜説明しながら行います。看護師は、患者さんに痛みや体の変調がないか声をかけたり、体をさするなどのタッチングを行ったりします。また、リラックスできるように音楽を流したり、患者さんと少しお話したりすることもあります。ただ、手術によって体を動かさない、話してはいけないなどの制約もあり、体を固定することもあります。患者さんに協力してもらいながら、スムーズに手術が終われるように支援します。手術が終わると更衣を済ませ、迎えに来た外来看護師とともに退室します。
 手術が安全に行われるには、患者さんの協力が欠かせません。不安なことや心配なことがあれば、看護師に相談してください。

●入院手術の場合

 手術する患者さんを送り出す病棟の看護師に聞いてみました。
 心身共に侵襲を伴う患者さんに対して意識していることは、安心して過ごせる環境作りです。術前オリエンテーションを行う時は患者さんと一緒に術前準備を確認し、丁寧に説明しています。質問があればいつでも相談してもらい、不明点があれば患者さんに理解してもらえるように説明をします。
 手術当日はさらに緊張や不安が増大するため、術前処置は事前に時間を伝えています。処置前には、患者さんのタイミングに合わせて点滴や着替えなどが行えるよう心がけています。手術室への移動時も常に声かけをして、少しでも緊張が和らぐように配慮しています。
 ご家族さんには予定される手術時間や、待合での過ごし方を説明し、不明点がないかの確認をしています。不明点があれば病棟のインターフォンを使って、いつでも対応できるようにしています。
 

 手術後は身体的苦痛も伴うため痛みのコントロールを行うとともに、その他の不快症状に対しても我慢せずにナースコールを押してもらうようにしています。看護師からも声かけを行い、患者さんとのコミュニケーションを図り、気持ちを伝えやすい環境が提供できるように、日々取り組んでいます。


河島 裕恵 (かわしま ひろえ)

手術室看護課長
1992年済生会京都府病院入職し、整形外科、泌尿器科、外科、内科病棟に勤務。2013年病棟課長として、整形外科・泌尿器科病棟、小児科病棟に勤務。2016年9月より医療安全管理者従事。2019年3月より手術室に異動、現在に至る。 掲載の「京なでしこ」を見る

カテゴリ:

  1. 全ての一覧

ページ
先頭へ