ことばのあや(2)

2021年05月01日(土曜日)

 疎遠になっていた祖父母に20年ぶりに会う約束をしていましたが、コロナ禍のため会えなくなりました。せめても、という思いで 90を過ぎた祖父母のために久しぶりに万年筆と便箋を取り出し手紙を書きました。手紙に写真と贈り物を添えて送ったところ、荷物が届いたと叔母が電話をくれ、本当に久しぶりに祖父の声を聞きました。その第一声が「ありがとう、ありがとう」でした。とても嬉しそうなポンポンと弾む声でしたが、認知症のため私のことは忘れているようでした。ふと祖父が「いくつになったと?」と聞いてきたので、歳を伝えると「大きくなったね」と言ってくれました。
 「ありがとう」の反対語は「あたりまえ」だと聞いたことがあります。確かにありがとうは漢字で書くと「有る」ことが「難い(かたい)」で「有難う」ですね。ちなみに「おおきに」は「大きに有難し」が語源とのこと。
 コロナ禍で、「あたりまえ」だった日常がいかに「有難い」日々だったかと気付いた、祖父との電話でした。(M)

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